日本文化として箸のマナーがあります。
海外出張や海外留学で「箸を使う文化」のない国や地域の方々との日本理解(異文化)交流にも役立つでしょう。また、観光で来日する方、日本企業へ就職し、日本で暮らす方なども、来日前に覚えておくと便利ですのでお箸の持ち方をご紹介します。
今の2本1組で1善の形状になったのは、箸の始まりから言うとずいぶん後のことで、箸は人間が食べ物を口に運ぶものではなく、神様に配膳するための祭祀(さいし)や儀式(ぎしき)で使うものでした。形状も1本の竹を中心で折り曲げた形で、現代で使っている調理用具に例えるならトング、「竹製のトング」のような形だったそうです。
日本で箸を使うようになったのは遣隋使(600~618年)が、日本へ箸を持ち帰ったことが始まりだという説があります(諸説あり)。
そして昔は位の高い人々だけが箸を使っていましたが、平安時代(794~1185年)頃から、一般庶民も箸を使うようになりました(諸説あり)。
日本の箸の箸先(はしさき)は、他国では類を見ない細さ、繊細な削り方がされていて、箸を使って色々な作業をすることができます。
中華料理の箸先は想像以上に太く、韓国料理の銀の箸は滑りやすく、箸文化がある日本人でも面食らったことがあるのではないでしょうか?
箸は食べ物をつまむ、箸ではさむ、押さえる、箸で細かい飯粒をすくう、箸の先にのせる、魚のかわを裂く、はがす、骨を取るときに支える、巻く、切る(ちぎる)、茶碗(飯椀)の上へ運ぶ、混ぜる、等をすることができます。
箸で行う10以上ものたくさんの作業をスムーズに行うためには、箸先の繊細さ(細さ)や、箸の持ちかたが関係しているように思います。
箸(はし)をえんぴつを持つように持つ
もう一本の箸(はし)を下から差し込む
箸(はし)を落とさないように注意してください
箸先(はしさき)を閉じる
箸(はし)を大きく広げる
箸先(はしさき)を閉じる
もう一度、箸(はし)を大きく広げる。
何回も箸でIの文字を書くように練習しましょう。
これができるようになったら実際に箸を使ってみましょう。
◎
わり箸を横に持って上と下に引きます。
×
わりばしを縦に持って右と左に引くのはNGです。
悪い例(わるい れい)
理由(りゆう)は、左右(横)に引くと、となりの人に ぶつかってしまう場合もあるからです。
日本では食事をする時に、茶碗(飯椀)・汁椀・小さいお皿などの器(うつわ)を持って食べる習慣があります。
昔は、日本では箱善(はこぜん)を使う習慣があったからだという説があります。
箱善は座卓(ちゃぶ台など)に比べて高さが低く、自然に食器を持ちあげることになります。
近隣諸国と比較してみましょう。
韓国では食器を持って食べる習慣がありません。食器はテーブルに置いたまま食べます。銀製の器と、銀製の箸と、銀製のスプーンを使って食べます。
韓国から日本へ来ている方に聞きましたら、韓国で食器を持って食べることは、器の材質から熱くてできないことと、マナー違反にもなると教えて頂きました。
また、食事中の座り方は日本と違って「正座はしない」という話でした。座り方にも韓国独自の文化がありました。女性は座卓(イスではない)の場合は、片方の足を立てて立膝(たてひざ)をし、もう片方の足はあぐらのような恰好で食事をします。この理由は食事中でもすぐに立ってご主人や家族の料理・お酒のおかわりを準備することができるようにという配慮からだそうです。
中国圏の方にも器を持って食べる文化があるか聞きました。やはり食器を持って食べる習慣がないそうです。日本の箸を見慣れている日本人から見ると、中国圏では驚くほどの長い箸と、れんげを使って食事をします。食器はテーブルに置いて食べる食習慣だそうです。
中国圏の箸が長いのはすぐに理解できます。大きなテーブルに大皿料理を並べて、大勢の人と食べる食事の習慣がありますから、日本のような短い箸よりも長い箸のほうが合理的だということがわかります。
過去に「中華料理は、大勢の人とワイワイ話をしながら食べないと中華料理ではない!」と言い放った方がいました。
韓国や中国圏だけでなく、欧米諸国をも考えた時に、日本の食文化は他国と大きく違う点があります。
日本では自分の器からスプーンや、匙(さじ)、れんげなどで汁物をすくって口に運ぶ食事の習慣がありません。
日本の食文化・食事のマナーでは汁椀を持ち上げて、汁椀に直接口をつけて汁を飲みます。
学校給食で「先割れスプーン」の使用により「犬食い(器を置いて口を近づけて食べること)」をする習慣が児童・生徒に定着しつつあることが問題になり、現在一部の場合を除いて、ほとんどの学校は日本の箸文化を取り入れた給食にかわってきているようです。
※一部とは、カレー・シチューなどの時にはスプーンが出る学校もあるそうです。
日本の箸文化を日本のお子さんなどの次世代に繋いで行くことと、近隣諸国の箸文化がある国の方々にも日本の箸の美しさ・箸を通しての心づかい・箸の便利さを知って頂きたいと同時に、日本の食事のマナーや箸のマナーだけでなく、他国の箸文化、食事のマナーも理解し、尊重しあいながらテーブルを囲めたなら、きっと共に楽しい食事のひと時を過ごせるのではないかと感じています。
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